イケメンエリート、最後の独身
「萌絵ちゃん、ここってキスは厳禁なのかな…」
「さあ…」
今まで謙人が利用していたラウンジやクラブには、そういう行為を容認するその手の人間しか集まっていなかった。だから、キスに関しては問題ない。それ以上の行為はさすがにNGだったけれど。
でも、ここは公共の施設と変わらない。
ちょっと先のシートには小さい子供のいるファミリーがくつろいでいる。
中学生のカップルや高校生のカップル、ましては年配夫婦だって楽しんでいる。
謙人は違った意味でドキドキしていた。
こんなガヤガヤした場所で萌絵と密着してイチャイチャできる。すごく楽しいけれど、でも、ムラムラが昂ってしまう。
もしかしたら、ここは拷問部屋かもしれない。
暗闇の中、真上には星屑の映像と心地よいBGMが流れ、体半分お互いピッタリと寄せ合うカップルは、どうやってこのムラムラを解消しているのだろう?
残念ながら、謙人は我慢の限界にきていた。
「三秒だけ…」
謙人はそう言うと、すぐ近くにいる萌絵に軽くキスをした。
「萌絵ちゃん… 俺、もたないかもしれない」
キスをしたのが悪かった。