イケメンエリート、最後の独身


 萌絵はホテルの豪華さに感動していた。和洋折衷のインテリアは日本人より外国人の客層を対象にしている。
 萌絵はスマホで数枚ほど写真を撮った。特に、ロビーの中心にある大きな生け花はため息が出るほどに美しい。
 この先、日本の事を懐かしく思う時がきっとくる。それが、日本の事なのか、謙人の事なのか、今は深く考えたくない。

 謙人が用意してくれた部屋は、スィートルームかデラックスルームに違いない。
 萌絵は、広々としたリビングの先に見える東京の夜景に驚いた。そこに窓があるのが分からない。窓枠もカーテンもないせいか、外の風景と部屋のインテリアが繋がって見える。まるで雲の上にいるみたいなそんな感覚だった。
 そのリビングの隣にはベッドルームがあり、ベッドルームの窓際には外の風景を堪能できるバスルームまで完備していた。

「お風呂からも夜景が楽しめるんですね」

 お風呂が大好きな萌絵は、そのお風呂の雰囲気にもう心奪われている。
 すると、隣に立つ謙人が自慢気に萌絵を抱きしめた。


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