イケメンエリート、最後の独身
その単語しか頭に浮かばない。だけど、しかし、それなのに…
萌絵の紡ぐ接続詞は逆接のものばかり。
あの夜、謙人の愛の告白を真剣に受け入れなかった自分がいた。自分に自信がないせいで、謙人の純粋な想いを信じる事ができなかった。
そんな中、偶然に舞い降りてきた夢へのチャンス。
それは自分の努力の賜物だと素直に思えて、ただひたすらに掴み取った。
でも、もしそうなる前に、謙人と今のような関係になっていたら、私はどういう返事をしたのだろう…
今、萌絵は謙人とずっと一緒に居る。
もちろん、恋人として心も体も謙人を求めている。肌を重ね合わせて交わる事で、謙人が唯一無二の存在だといつも確信してしまう。
でも、萌絵はドイツへ行く事を止める気はない。
たった一度の人生、自分という人間が求められているのなら、誰かのために役に立ちたい。
それが謙人との別れに繋がっても…