イケメンエリート、最後の独身
 

 そのもう一枚は、萌絵のガラケーじゃなく違うスマホで撮っている。
 …謙人さんのスマホ?
 萌絵がそんな事を考えていると、謙人は嬉しそうにガラケーで撮った萌絵の写真を見せてくる。

「萌絵ちゃんって本当に可愛いね」

 一日中、気分が落ちていた萌絵は、そんなお世辞でも嬉しくて仕方がない。

「困った事があったらいつでも相談するんだよ」

「ありがとうございます」

 萌絵は、謙人の顔をしっかりと見る事ができた。
 もし謙人の態度が急に意地悪になったりしたら、本当に仕事を続けられないと思っていた。
 でも、隣を歩く謙人はすごく楽しそうだ。萌絵はそんな謙人を見ていると、俳優の誰かに似ていると思った。だけど、その俳優の名前が出てこない。

「謙人さん、俳優さんに似てるって言われませんか?
 誰かに似てるって思うんですけど、その誰かが思い出せなくって」

 萌絵が一生懸命話している姿を謙人は嬉しそうに見ている。
 萌絵は近くで謙人の顔を見た。こんなに美しい男性を見たのは初めてだった。二重瞼の大きな瞳。スッとした雰囲気の純和風の美男子だ。笑い始めると、大きな瞳がなくなってしまうほど可愛らしい顔になる。
 その笑顔が最高に魅力的だった。


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