イケメンエリート、最後の独身
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そして、ここにもう一人、人生最大のラッキーを手に入れた人間がいる。
名前は田中萌絵。
三年ぶりにEOCのアシスタント業務の募集があり、契約社員としてその激しい倍率の中を勝ち抜いた選ばれし者だ。
萌絵は、今、たった一人の募集人員に自分がどうして選ばれたのか何も分からないまま、27階建ての超高層ビルの前で佇んでいる。
最終面接は、ソフィア高市という女性社長とのリモート面談だった。
「私と面談するのは五人しかいないの。
エントリー数は300人を超えていたから、そう考えたらその五人に入っている事だけでも凄いことよね」
「…はい」
画面に映る社長は優しい顔をしていた。
「あなたの経歴にすごく興味を持っているのよ。
NPOの活動で回った国が本当に素晴らしい。中々、皆あまり行きたがらない辺境の地だもの。
それだけであなたの人間性が分かる」
萌絵は地元の看護学校を卒業して、すぐにNPO法人の医療活動に参加した。
辺境な地は自分で選んだわけではない。そこを指名されたから行っただけ。