イケメンエリート、最後の独身
謙人は萌絵とホヨンのやり取りをずっと見ていた。
別に隠れて見ていたわけじゃない。二人が入り口に立っている謙人に気付かなかっただけだ。
ソフィアがこだわってデザインしたカフェスペースは10畳ほどの広さだけど、木目調で木の温かみを感じられるホッとできる空間だ。
でも、今、その空間を楽しんでいるのは萌絵とホヨンだけで、謙人は嫉妬の嵐の渦の中にいた。
ホヨンが萌絵と呼び捨てにしたのが、衝撃的だった。
そんなに親しい仲になったのか?
謙人の頭の中は色々な想いでぐちゃぐちゃになっている。
そんなパニック状態のまま、謙人は二人のやり取りをジッと見ていた。
ホヨンの俺様的な態度が気に喰わなかった。萌絵はホヨンより年上のはずで、その年の差に対するリスペクトが全くない。
凪と同様で、周りに気を遣わないタイプだと聞いてはいたが、萌絵に対してはその性格は通用しない。謙人が監視している限りは。
それに、萌絵さんじゃなくて、萌絵って?
いつもは冷たい態度で萌絵を困らせているのに、萌絵って…?
謙人は今時の若い子の感覚が分からなかった。