イケメンエリート、最後の独身
あのマフラーはホヨンの物だった。
そのマフラーに関しては何も言わないし聞かないでください、という事か?
謙人はホヨンと萌絵の関係性に愕然とする。
そんな親しい仲だったなんて考えもしなかった。ホヨンのようなツンデレ男子は萌絵みたいな素直な女の子を簡単に射止めてしまうのかもしれない。
あの時の凪と舞衣みたいに…
「謙人さん、私、一人で家まで帰れます。
ちょっと迷ったとしてもそうやって道を覚えていくしかないので、本当に大丈夫です。
謙人さんはこのまま自分の家の方へ向かってくださいね」
駅の改札口に着くと、萌絵はそうやって謙人に伝えた。
謙人は萌絵の自宅近くの駅まで一緒に行くつもりでいたから、ちょっとポカンとなってしまう。
というより、ずっとホヨンと萌絵の関係性ばかり考えていた。だから、急な萌絵の提案に今さらながら驚いている。
「え、いいよ。萌絵ちゃんの家の近くまで送るよ」