イケメンエリート、最後の独身


「ううん、大丈夫です。
 駅までの乗り換えもちゃんと把握できましたし、もう何も問題ありません。
 謙人さんの親切心に甘えてばかりじゃダメだって、そう思っていて…
 でも、これからも分からない事があったら教えてください。
 謙人さんは今の私にとって、東京でできたたった一人の友人なので」

 萌絵が心の底からそう思っているは、よく分かった。
 友人というワードにはかなりショックを受けているけれど、ここでしつこく付きまとったら本物のストーカーになってしまう。

「分かった…
 でも、困った事があったらいつでも言ってきて。
 俺は萌絵ちゃんの一番の味方だから」

 謙人は最高の微笑みを萌絵に見せる。
 今日の今までの萌絵の記憶をこの笑顔で全て塗り替えたい。きっと、多分、ホヨンのツンデレな魅力でいっぱいのはずだから。
 謙人は萌絵が振り向くたびに、大人の男しか醸し出せない余裕の微笑みを投げかける。そんな必死な自分が悲しかった。


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