イケメンエリート、最後の独身


「でも、まだ仕事がたくさんあるので…」

 そうだろうと謙人は思った。萌絵の真面目な性格では、この時間に外へ出るなんてあり得ない。

「ホヨン君とトオルには、ちゃんと許可をもらってる。
 ほんの一時間くらいだから、ちょっと俺に付き合ってほしい」

 トオルにはちゃんと話を通している。
 トオル自身、舞衣の歓迎会を覚えているし、そうしてくれて助かると謙人にお礼を言うほどだった。
 ホヨンに関しては、許可さえ取っていない。トオルが良しと言えばそれでいいわけだから。

 謙人は知り合いの女の子が働いているショップに萌絵を連れて行った。このビルの低層階には一流ブランドの様々なショップが入っていて、その中でも謙人が好むブランドの店だった。

「萌絵ちゃん、今日の歓迎会に着ていく服を一緒に選ぼう。
 萌絵ちゃんは驚くかもしれないけど、今までも歓迎会の時にこういう形で服をプレゼントする慣例があって、だから、何も考えずに好みの服を選んでほしい」

 萌絵はこの状況がまだ理解できていない。ポカンとした顔で謙人を見ている。


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