イケメンエリート、最後の独身


「萌絵ちゃん、着いたよ」

 謙人は先に降りて、萌絵をエスコートする。
 そこは謙人の行きつけのジュエリーショップだった。男女問わずハイブランドのジュエリーを扱っているその店の前に、謙人の友達のオーナーが待っていてくれた。

「謙人、久しぶりだな。
 今日も売り上げに貢献してもらって嬉しいよ」

 謙人は昭二とハイタッチをして笑い合った。昭二は謙人の飲み仲間だ。彼もいわゆるバイセクシャルで、謙人にとっては気の合う友達の一人だった。

「彼女? 可愛いね」

 昭二は愛想よくそう言った。
 謙人はすぐに萌絵を自分の背中側に隠す。昭二は女優キラーと呼ばれている。女性に好まれる不思議な魅力の持ち主らしい。謙人はそんな事を思い出し、萌絵を必要以上にガードした。

「ごめん、今日はあまり時間がないんだ。
 彼女が気に入るジュエリーがあればと思って来ただけだよ」

 質問の確信には触れない。謙人は昭二に目配せをして奥のVIP専用のショールームに急いだ。

「謙人さん、ここは?」

 萌絵はこの店の煌びやかさに圧倒されていた。目の動きが定まらない。


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