太陽と月の恋
それはコンビニを出てバッグに買ったばかりのストッキングを詰め込んだ、帰宅途中。

12月15日。見上げればすっかり葉が落ち切った木は、暖かいオレンジ色のLED電球を見に纏い、気まずさのあまり私から目を逸らしているようだ。

拓郎、意味が分かんないんだけど。

私、明日誕生日だし、もうすぐクリスマス。

私の指は私の意思を無視するように勝手に電話の履歴から拓郎に電話を掛けていた。

コールも鳴らないまま、瞬時に彼が出たことに私は驚いて思わず「あっ」と発言する。

拓郎、お願い、私頑張るから。
拓郎の仕事邪魔しないし、面倒くさいこと言わないから。
自立した女になるから。

だからもう一回、やり直そう?

それを伝えたかった。

だけど耳元で拓郎の低い声が震えるように伝わってきた。

「ごめん、疲れてるから。もう、やめましょう」

お願いしてくるかのような響き。

「うん、分かった」

私はそれしか言えず、彼は安心したかのようにそっと電話を切った。

私の耳元からスマホが滑り落ち、右手にぶら下がる。
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