太陽と月の恋

「腹減りました」と唐突に河辺さんが呟いた。

「ああ、そうですね」
「木谷さん、今日は何食べるんですか」
「決めてないです」
「決めてないんですか？」
「はい、別に、適当に」

大袈裟な「なんでですか？」の声と共に私への負荷がふわっと抜けた。

驚いてる顔の河辺さんが私を見下ろしてる。

「そんな驚くことですか」
「だって今日、イブっすよ、イブ！」
「別に良くないですか」
「なんでこんなところに来てるんですかぁ！」

「昨日自分が明日って言ったんじゃ」という言葉を飲み込み、唖然と見上げていると、河辺さんはポリポリと頭を掻きながらしゃがみ込んできた。