太陽と月の恋
「何言ってるの」
「話聞いてると勿体無いよ、まじで。もっとアレな人間でももっと楽しそうに生きてるのに、なんであなたそんなにつまんなそうなの」
「なんでだろ」
「運動だって全然好きじゃないでしょ」
「全然好きじゃない」
あのトレーニングの時間は何も考えてなかった。良いことも悪いことも。
「でもさ」と私は続けた。
「体型とか、数値とか、何かが変わり始めたら私の心も変わるんじゃないかなって」
「なるほどね」
彼は木のボウルに入ったシーザーサラダを私の取り皿にも分けてくれた。
「それまでは無心でやりたくて」
「今、あそこにいる時間は無心なの?何も考えてないの?」
「うん、無心」
キュッと目尻の上がった目が、私を哀れんでるのか、何か考えがあるのか、含みをもった表情で見つめてきた。
「俺は映ってなかった?」
「え?」
「俺は透明でしたか?」
私が答えられずにいると、彼は勝手に判断したのか「そっかー、結構声掛けたり頑張ってみたんだけどな」と言ってシャンパンを飲み干した。続けて手を挙げて店員を呼び止め、次の飲み物を注文する。
「見てたよ、ちゃんと」
かなり出遅れた返事を、私はやっと言えた。
「じゃあ、メンタルを改善したいな、俺は」
グイグイッとまるで工具でネジを回すかのような仕草をしながら笑う。
そして「俺と付き合ったら楽しいんじゃない」とあまりにも自然に付け足した。
彼は何故、私にそんなことを言えたんだろう。
「話聞いてると勿体無いよ、まじで。もっとアレな人間でももっと楽しそうに生きてるのに、なんであなたそんなにつまんなそうなの」
「なんでだろ」
「運動だって全然好きじゃないでしょ」
「全然好きじゃない」
あのトレーニングの時間は何も考えてなかった。良いことも悪いことも。
「でもさ」と私は続けた。
「体型とか、数値とか、何かが変わり始めたら私の心も変わるんじゃないかなって」
「なるほどね」
彼は木のボウルに入ったシーザーサラダを私の取り皿にも分けてくれた。
「それまでは無心でやりたくて」
「今、あそこにいる時間は無心なの?何も考えてないの?」
「うん、無心」
キュッと目尻の上がった目が、私を哀れんでるのか、何か考えがあるのか、含みをもった表情で見つめてきた。
「俺は映ってなかった?」
「え?」
「俺は透明でしたか?」
私が答えられずにいると、彼は勝手に判断したのか「そっかー、結構声掛けたり頑張ってみたんだけどな」と言ってシャンパンを飲み干した。続けて手を挙げて店員を呼び止め、次の飲み物を注文する。
「見てたよ、ちゃんと」
かなり出遅れた返事を、私はやっと言えた。
「じゃあ、メンタルを改善したいな、俺は」
グイグイッとまるで工具でネジを回すかのような仕草をしながら笑う。
そして「俺と付き合ったら楽しいんじゃない」とあまりにも自然に付け足した。
彼は何故、私にそんなことを言えたんだろう。