太陽と月の恋
思えばずっと、私の片想いだった。

初めて会ったあの時から、私は拓郎をただ追いかけて、都合の良い女になって、最終的にはどうしようもなく重い女になって。

何度も「ごめん」と言わせた。

拓郎は1ヶ月前からずっとそれしか言わなかった。
部屋に押しかけても「ごめん」、その一言で私は追い出された。
手作りの米粉パンとともに。

胃袋を掴めと言った人間は誰ですか。

「食欲ねえんだ」と髭がともみあげが繋がりそうなその口元で言われましたよ。
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