太陽と月の恋
初電話
静まり返った部屋に一人帰ると、一気に夢から目が覚めたような感じがした。

別れ際、「じゃ、また明日」と言って河辺さんは来た道を引き返していった。

これは次の恋人ができた?ってこと?

あまりの展開に頭が整理しきれない。

夢だったのでは。
もしや、ただの挨拶?

電気をつけると、部屋は今朝の状態のまま、シンクには食パンを食べた後のパン屑が残った皿とマグカップが置いてある。

キッチンの方に曲がろうとしてフラついたので、随分と今日は酔ってることにやっと気付いた。

あんなに歩いてきてたのに。

ああ、今からシャワー浴びなきゃなあ、ともうすぐテッペン越えそうな時計を眺めながら焦る。

明日でもいっかなあ、でも化粧は落とさないとなあーとグダグダしながら、ベッドに倒れ込んでしまったのが最後、私は羽毛掛け布団の気持ちよさに、目を瞑ると頭から引っ張られてしばし気を失った。

一瞬の瞬きのような感覚で目を覚ますと、時計は明るい部屋の中でしっかり2時を過ぎていた。

「ええーー化粧は落とさないと」

独り言を言いながら、私は洗面所へと向かう。

時はあっという間に、メリークリスマス。

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