太陽と月の恋
カップにお湯を注いできた彼はまた戻ってきた。
「ねえ、俺たちって付き合ってるんだよね?」
「うん、そうなんじゃない?」
「そういうことだよね?」
「うん」
「葵ちゃん、は今何してんの」
河辺さんは突然「葵ちゃん」を強調するように言ってきた。
「なにその『葵ちゃん』って」
「葵ちゃんは葵ちゃんだよ」
「ちゃん付けってそんなに呼ばれたことないから変な感じ」
「じゃあ、『あおい』」
「変だよ、そのイントネーション」
「葵ちゃんがやっぱりしっくりくるなあー」
河辺さんの「葵ちゃん」は不思議と馴れ馴れしさがなくて、ハッキリと自律していて、そこに甘えみたいな空気はまとわりついていなかった。
彼なりの照れ隠しの「葵ちゃん」なんだと思う。
「じゃあ、つよしさん」
「え、俺『さん』付け?」
「つよしくん」
「『つよし』がいいな」
「それは恥ずかしいな」
私もまた同じだった。
私たちは「葵ちゃん」と「つよしくん」と呼び合うこととなった。
「ねえ、俺たちって付き合ってるんだよね?」
「うん、そうなんじゃない?」
「そういうことだよね?」
「うん」
「葵ちゃん、は今何してんの」
河辺さんは突然「葵ちゃん」を強調するように言ってきた。
「なにその『葵ちゃん』って」
「葵ちゃんは葵ちゃんだよ」
「ちゃん付けってそんなに呼ばれたことないから変な感じ」
「じゃあ、『あおい』」
「変だよ、そのイントネーション」
「葵ちゃんがやっぱりしっくりくるなあー」
河辺さんの「葵ちゃん」は不思議と馴れ馴れしさがなくて、ハッキリと自律していて、そこに甘えみたいな空気はまとわりついていなかった。
彼なりの照れ隠しの「葵ちゃん」なんだと思う。
「じゃあ、つよしさん」
「え、俺『さん』付け?」
「つよしくん」
「『つよし』がいいな」
「それは恥ずかしいな」
私もまた同じだった。
私たちは「葵ちゃん」と「つよしくん」と呼び合うこととなった。