太陽と月の恋
曇り空から月が顔を覗かせる。
寒い夜は星が綺麗だ。

皮肉。

私、振られたよ。

実は私、振られたんです!

周りを颯爽と行き交う社会人たちに、そう大声で叫び伝えたい。

コンビニから今出てきたばかりの、そこの大学生!
私、私!今つらいの!
振られたばっかりで、つらいの!

もちろんそんな事、言えるわけもなく、私は無言で家路に着く。

またスマホが振動したけど、怖くてその画面を見ることができない。

なんですごく悲しいのに、つらいのに、私は泣けないんだろう。

いや、初めて会ったその時から、私の恋はつらい恋だったんだ。

寒い風が、コートの繊維と繊維のわずかな隙間から入り込んで私の身体をさらに冷やした。

神様なんていない。
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