太陽と月の恋
私は作り置きしてた肉じゃがと炒め物を再度温めて、その間にもやしのナムルや取り皿たちをテーブルへ運んでいく。
大したものは何もないのに、いちいち「すげー」と大袈裟に騒いでくれる剛くんに救われる。

肉じゃがをテーブルの真ん中に置いたところで、買ってきた期間限定いちご味のチューハイをグラスに注いだ。

乾杯をすると一口飲んで、剛くんはすぐに取り皿にあれこれ取っていく。そして「うめえ、うめえ」と大きな口で食べてくれた。私が「美味しいかな?」と気を揉むこともなく、豪快に食べていく姿にホッとする。

ざっくりと一口ずつ食べたあたりで、口の中が空っぽになるといちごのチューハイを流し込み、剛くんは私の方を向いて「めっちゃうまい」と伝えてくれた。

そしてまた箸を伸ばしていく。
見てて気持ちのいい食べ方。

次々と口へ運ぶ剛くんを見ていたら、急に剛くんは私を見た。

「あのさあ」と言ってから、口の中にあるものをチューハイで流し込む。私も釣られて一口チューハイを飲んだ。わざとらしいほどのイチゴ味。

「飯食ってる時にキスしたくなったらどうすればいいんだろうね」

剛くんは恥ずかしそうに笑って誤魔化しながら言う。

「何言ってんの」
「チューしたいんだけど、していい?今」

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