太陽と月の恋
ご飯を食べたり、地元の同級生の話とかくだらないことを話しているうちに時間が過ぎていった。

剛くんの手はなぜか私のお腹あたりをゆるくさすったり、たまに手が止まってギュッと体ごと抱きしめたり、口と手が全くリンクしてなくて、剛くんの話は半分くらいしか私の頭に残らなかった。

「明日仕事面倒くせー」
「何時から?」
「10時からー」

剛くんは背もたれにしていたベッドにさらにもたれかかるように大きく伸びをして、突然立ち上がる。

23時。

「帰るね、そろそろ」

剛くんはまたひょいとフードを被り、アウターを手に取った。切り替えの早さに驚く。「帰っちゃうの?」と言いたかったけど、眠そうだしリュックを背負っちゃったし、私はグッと言葉を飲み込んだ。

玄関で靴を履き終えると、剛くんはふと私の目を見る。そして、私の手をグイッと勢いよく引っ張ってきたから私はスリッパのままコンクリートの上に落ちて、剛くんの体に勢い良くぶつかったところで収まった。

見上げると、剛くんは私の髪の毛を後ろに流しながら最後のキスをくれた。

すぐに口が離れて「明日来る?」と言ってきた。

「行こっかなー」
「分かったー、じゃ、また明日」

口元にニッと笑みを浮かべたかと思ったら、すぐにフードの陰になって見えなくなった。
剛くんはサラリと夜の外へと出ていった。
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