太陽と月の恋
私はうつ伏せにさせられて、その背後から剛くんも密着するように重なってきて、剛くんの大きな手のひらが私の頭を固定するから全然身動き取れなくて、頭も体も剛くんの存在でいっぱいになる。

剛くんの荒くて短い呼吸が耳にかかる。
動物の交尾。
所詮、理性を失った私たちはただの動物でしかない。

背後から口を塞ぐようなキスをされて、ちょっと苦しくなってキスをやめて、自然と息と一緒に声も漏らしていた。

もしこれが一夜限りの関係だったら、私はずっとこの剛くんとのセックスを忘れられなかったと思う。

そのくらい脳裏に焼き付いて、離れないような感じ。

すべてが終わると、狭い部屋に二人の呼吸音だけが響いていた。
最後の方は無呼吸になってたのかもしれない。ギュッと高く打ち上げられていた意識がゆっくりゆっくり地面に落下してきたような気がする。

剛くんは私の髪を上にかきあげながら、顔を覗き込むようにして、「気持ちよかった?」と確認してきたから頷く。

幸せで夢みたいな時間。

ずっと重なっていたいくらい、剛くんの体温とほどよい重みが心地いい。

すぐ隣にある横顔に向かって声をかける。

「剛くんは?気持ちよかった?」
「気持ちよかった」

暗闇の中でちらっと目が合った。照れ隠しするような表情を隠し切った目。
私の大好きな人。

「今年もよろしくね」

そういうと、剛くんはコクンと頷いた。
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