太陽と月の恋
まだ昼過ぎだというのに、家の中はシンと冷えていた。ダウンを脱ぎながらエアコンの暖房を付ける。

さっきまで剛くんがいた部屋。
私はコンビニで買ってきた豚汁をテーブルに出す。温めてもらったから、ホカホカと温かい。

剛くんはバツイチだった。
元嫁はあの美女。

剛くんは「俺が原因で離婚した」と言った。

深く沈み込む私をベッドの縁がしっかりと支える。

剛くんはあの人のモノだったんだ。
そして剛くんもまた、あの人が好きだったんだ。

結婚は一つの所有だと思う。
配偶者からの愛の所有権。

あの人は、剛くんと結婚していた。

なんで別れたんだろう。
なんで言わなかったんだろう。
なんで私は受け止めきれないんだろう。

子どもはいなかったのかな。

剛くんはなんで私のことが好きなんだろう。

たくさんの「なんで」が次々と浮かんで浮かんで頭の中でそれぞれ膨らみ続けてパンクしそうになる。

あの女が元嫁だったら、私は勝ち目ない。

私たちはなぜ付き合ったんだろう。

私の重い身体を、掛け布団が仕方なく受け止めていた。
暖房つけても寒い一日。
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