君の答えを、教えて。
「ねぇ、優月。どうしてわたしに構うの?」

質素なお弁当。

自分で作ったからか、中身は雑で美味しそうに見えない。

見栄えは悪いし中身はスカスカだし、味もそれほど美味しくない。

定番の卵焼きだって、もう卵焼きに見えなかった。

わたしは昔から手先が不器用だから、きっとそのせい。

料理は好きじゃない。

お母さんは料理、好きなのにね。

わたしは誰にも似なかった。

「うーん、なんでだろ。でもわたしはひとりだし、やっぱり友達欲しいし? あとは#./_の秘密知っちゃったし。まあ友達欲しいっていうのが一番当てはまるかな」

優月は名前からしたら静かで和やかって感じがしたけれどそうでもなかった。

意外とうるさかったりする。

態度も変えない。

でも名前通り優しいの。

初めて人を可愛いなって思った。

どうしてか、優月がわたしには可愛く見えた。

これまでちゃんと人を見ていなかったからかもしれないけどね。

「あのさ、わたし今日、やってみたいことがあるから授業サボるね」

屋上から飛び降りるのを今日実行しようと思う。

でも優月に言ったら面倒なことになりそうだったからあえて言わなかった。

「そうなの? 先生には言う?」

「言わなくていいよ」

怒られればいい。

……って、怒られないか。

だって死にに行くんだもん。

会えるわけ、ないじゃん。

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