君の答えを、教えて。
地面に足がついたことで男の前に立った。

そしてそのまま胸ぐらを掴む。

「勝手なこと言わないで」

「俺こんなんされたの初めてだわ。まさか最初が女子とは」

何呑気なこと言ってんのよ。

力強く睨んでやると「ごめんごめん」とそんなこと思ってもないような声で謝ってきた。

「わたしは死にたかったの! なのに……」

「んーまあ、ごめんね」

思ってもないのに謝られても困るっての。

「俺、翔湊(かなた)」

突然の自己紹介に戸惑ってしまった。

「お前は?」

なんてのうのうと聞いてくる。

「私は#./_。よろしくね」

「ああ」

よろしくねなんて嘘。

私と翔湊とかいうやつとの関係に、これ以上なんてない。

言葉の嘘は、言い方によっては上手くいくから。

ニコッと笑った翔湊が、目に残った。

よく見れば、顔も、まぁ悪くはないし、身長もあるし、充分かっこいいんじゃないかと思う。
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