跡取りドクターの長い恋煩い
 おでこにキスした時のあの恥ずかしそうに上目遣いで俺を見る笑美里……たまらん!

 頬もつやつやで柔らかくて、思わずかぶりつきたくなる!

 「宗司?  ちょっと、大丈夫?  顔がニヤけきってるんだけど。
 ……その様子じゃ、好き放題やってたわね」

 あ、バレた。

 「つ、付き合ってたんだからいいだろう?」

 「まあ、いろいろ出来たってことは、笑美里も案外嫌がってないってことか」

 「いや、それは違うだろう?
 本当に嫌がってなかったら、そのまま付き合いは続行だろ? 
お前振られたんだよな?」

 「もっと俺を知る時間をくれてって言われただけだ。振られたわけじゃないぞ!」

 「微妙だけど……でも、嫌なら知りたいとは言わないわよね。
 それに、成り行きで付き合ったにしても、ハグもキスもさせないでしょう。
 ってことは宗司、あなた脈あるんじゃない?」

 「だよな⁉」

 「……脈がなかったら困るよ。廣澤に嫁がせるために準備してきてるのに、笑美里がお前を好きにならないと根本から話にならん」
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