跡取りドクターの長い恋煩い
「いや、それはいいんだ。
 でもその後、汚れた服を脱いで下着姿のままベッドに入ってしまった」

「えぇっ!」

 てことは、宗司くんの前で脱いだの?

「ベッドに入ったものの寒かったみたいで、俺は……少し温めようと」

「あ、温める⁉」

「あ、ああ……その『そーしくん、寒い』って服を引っ張るから、温めるつもりでベッドに入った」

 嘘でしょー‼
 私から誘ったの⁉

 顔を真っ赤にしながら話す宗司くんを見ていると、どうやらそれは本当のことらしい。

「……で、その……『もっと』って言うから、つい、肌を重ねてしまって……」

 もっと⁉ 肌を重ねた?

「……コホン。なるほど、わかったわ。私が迷惑をかけたのね。本当にごめんなさい。
 だから宗司くんが責任を感じる必要はないわ。何があったとしても、もう社会人になった大人。私がやらかしたことの責任は私にあるの。……その、本当にしちゃったんだとしても、それで責任を取って結婚なんて必要ありません。お、お気持ちだけで充分です!」
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