跡取りドクターの長い恋煩い
ホームパーティー
 土曜日の午後5時。
 私はお隣の部屋でレタスをちぎっていた。私でも出来るお手伝いと言えばこれくらいだからだ。

 「笑美里、次はこれを混ぜて」
 
 「はーい」

 なんだかわからないけれど、小さなボウルに入ったたれのようなものを渡された。
言われるがままに混ぜる。
これは何かのたれ?
 ガーリックが入っているのかな?
 食欲をそそるにおいがする。

 「悪いな、手伝わせて。
今日に限って病棟が立て込んでて」

 「全然いいよ」

 同じ職場にいるのだ。今日は土曜日でムンテラが重なっていたのは知っている。

久しぶりに来られたご家族から病状を説明して欲しいと言われたことも。

土日しか来られないご家族の方も多いから仕方ないことだと思う。

 「忙しいの知ってるし、今日は食べに行っても良かったのに」

 いつも手料理をご馳走になっているのだから、たまには私がご馳走したかった。
外食になっちゃうけど。
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