跡取りドクターの長い恋煩い
 それにしても、宗司くんって大学時代は昌宗くんと一緒に住んでいたんだ。知らなかった。だから瑞穂さんがマンションへ遊びに行っていたのね。

 「作りながら出来上がったものを出して行くから食べ始めよう。今日は飲めるのか?」

 「ああ。今日は瑞穂の部屋に泊まる」

 「じゃあ大丈夫だな。
最初はビールにするか?
 ワインは白も赤も用意している。
そうだ、成城岩井でお前の好きなオルビエートの白を見つけたんだ」

 「マジ? やった。
じゃあそれで乾杯しようぜ」

 「笑美里、冷蔵庫から取ってきてくれるか?
 ……笑美里?」

 「……ハッ……あ、は、はい!」

 
 鯛のカルパッチョとミモザサラダがローテーブルに置かれた。

私がちぎったレタスがすっかりおしゃれなサラダになっている。すごい!

 ここはヤギボーとローテーブルしか食べるところがない。

普段は作り付けのデスク兼食卓で済ませているが、さすがにお客様が来られた時は狭すぎる。

私たちは床に座ってローテーブルで食べることにした。

まずはよく冷えた白ワインで乾杯だ。

 「おー! スッキリして美味いな」

 「……え-、ちょっとスッキリし過ぎじゃない?」

 「これだけで飲めばな。
オルビエートは食事の邪魔をしないんだ」

 「ああ、それは確かに」

 「ほかの白もあるぞー。
つぶれない程度に飲め」
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