跡取りドクターの長い恋煩い
 初めての絶頂の余韻にぐったりしていると、宗司くんがサイドテーブルから小さな正方形のものを取り出した。
 あれって、コンドーム? え、持ってたの?
 私の顔にはその疑問が表れていたのだろう。

 「この前の夜から、持ってないのは男として最低だと思って買っておいたんだ」

 宗司くんが恥ずかしそうに言う。
 そっか。私のために用意してくれたんだ。

 「そ、そんなに凝視されたら、着けにくいんだが……」

 でも私、好奇心旺盛なの。

「心配するな。ちゃんと装着の練習済だから」

「……」

 そこまで言うのが宗司くんなのよね……。
 まあもう慣れたけど。
 宗司くんの恥ずかしそうな目線は無視して、私は装着をしっかり見せてもらった。

 「笑美里、いい?」

 「……うん。来て……」

 「痛かったらさっきみたいに肩に掴まってくれていいから」

 宗司くんがゆっくり私の中に入ってきた。

 「ああっ!」
 
 指とは全く違う圧迫感、質量感、そして痛み。
 男の人を受け入れるという行為がこんなにも苦しいものだと思わなかった。
 でも、宗司くんもとても苦しそうだ。
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