跡取りドクターの長い恋煩い
 ガッカリした俺は、収まりのつかない自身を何とかしようとベッドから抜け出た。
しかし外のあまりの寒さに気づく。
 ブルっと震えた。

 さっきまで夢中でわからなかったが、いつの間にかエアコンが切れていたようだ。タイマーだったのかもしれないが、これじゃ風邪をひく。

 振り返ってベッドを見ると、相変わらず笑美里はスヤスヤと寝ている。

 今度は俺が暖をとりたくて、もう一度笑美里の隣に滑り込んだ。
 暖かい……。
この温もりから去りがたいと思っている俺がいた。

 ……よし。明日の朝、笑美里に何かを言われたとしても、責任を取ればいいのだ。

遊び目的ではない。決してそれだけは違う。笑美里は俺の大切な婚約者になる人なんだから。

 このまま寝て一夜を過ごし、起きたらちゃんと結婚を申し込もう!

 そう決意し、笑美里をしっかり抱きしめ眠りについたのだ。

 
 しかし、想定外の事が起る。

 
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