跡取りドクターの長い恋煩い
「……やっぱり笑美里、お嫁に来たんだね」

「へ?」

「……間違いないな」

「間違いない……」

 えぇっ?
どうしてそういう話の流れになるの?
 どうやら私だけが理解出来ていないようだ。

「よーく理解した。他の3人にも言っとくか。
 芦田笑美里には手を出すなって」

 えぇっ?

「ちょっと意味わかんないんだけど。
 でも手を出すなって、そんな心配しなくても有り得ないから。
 私全くモテないのよ?
今まで彼氏がいた事もないし」

「うそっ!  笑美里こんなに可愛いのに?」

「千聖〜。お世辞でも嬉しい!
 でも本当に全くなの。そもそも高校時代は勉強ばっかりで、図書館に籠ってたし。
 それにうちの兄夫婦が厳しくてさ。遊びに行くのも全部チェックされるの。親じゃないんだからなんでお兄ちゃん達が? って感じよ」

「笑美里……」

「芦田、大変だったんだな」

 ホントだよ!
 大好きな兄夫婦ではあるけど、溺愛が半端ないんだから。

「……うん。まあそれ、違う意味で続くと思うけど。
 あいつがあんな態度を取るなんて……」

「??」

 八木くんがボソボソと何か言ったけどよくわからなかった。

 結局、なんだかわからないまま、私以外の3人ともが納得してしまって、昼休憩はお開きとなった。

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