跡取りドクターの長い恋煩い
 ここで大事なことは、芦田家でも同じ考えだということだ。

 俺の親友、幸太郎とその嫁の瞳が俺の奮闘の甲斐あって、俺を義弟と認めたのだ。
 そう認められるまで、話せば長くなる実に数々のミッションがあった。

 ああ、俺頑張ったよなー!

「……先生?  宗司先生?」

 おっと……話し中だったな。

「はい、なんでしょう?」

「いや、俺が聞いたんだけど?」

「あ、そうでした。
 新歓の帰りにですね、いろいろありまして。
で、付き合うことになったんです」

「いろいろ……って、まさか君、送り狼になったんじゃ……」

「いえ、ちゃんと誘われて部屋に入りましたよ」

「……」

「で、俺は責任感のある男なんで、もちろん一夜を共にしたからには結婚前提のつもりです。
 実は俺も笑美里も付き合うのは初めてなんですよ。矢本先生、温かく見守ってください!」

 実に簡潔に事の経緯を報告した。

「……色々とツッコミどころ満載の話なんだが――」
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