跡取りドクターの長い恋煩い
病棟へ
 昼休憩が終わり、私たちは4人で研修医部屋に戻った。
 数年前にあった改築工事の際に、研修医のための部屋が完備されたらしい。

 ここには現在、初期研修医1年目が7名と、2年目10名がそれぞれにデスクが与えられている。
 1年目と2年目の間にパーテーションなどの仕切りがないため、なかなか雑多な雰囲気なのだ。こんな雰囲気だからか、2年目の研修医達もとてもフランクに話してくれる。

 もちろん、朝ロッカーで着替えが終わると、夜まで帰ってこない研修医も少なくない。まだ1度も会えていない2年目もいるくらいだ。皆さんとてもお忙しい。

「笑美里、今から7東?」

「うん。早めに行って矢本先生の患者さんのカルテ見ようと思って」

「私もそのつもり。6東だけどね」

 千聖は今呼吸器グループだ。

「俺はまた内視鏡室だな。八木は?」

「病棟。6西だけど」

 八木くんは循環器グループだ。

 ちなみに私は今消化器グループにいる。
 矢本先生は上部消化管(食道・胃)を専門とした内視鏡の指導医。だから上部内視鏡の検査日は一日中内視鏡室らしい。

 福岡くんも消化器グループなんだけど、下部消化管(大腸)の佐田先生についている。今日は下部グループが内視鏡室を使用する日なので、一日中内視鏡室詰めだそうだ。
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