跡取りドクターの長い恋煩い
「今日、2週間に1度のスペシャル御膳の日なんですよ」

 あちゃー……という顔を矢本先生がした。

「ひょっとして、スペ膳が食べられないから暴れた?」

「いえ。
『あら〜中島さん残念ね、スペシャル御膳の日なのに、お・き・の・ど・く』
 と日村さんが言ったんですよ」

「日村さんが煽ったのか……」

「そんなところです。
 それでティッシュの箱を投げつけたんですよ、中島さんが」

 ひいー
 なんて事を……。
 
 「……はぁ、還暦すぎたら赤ちゃんに戻るって本当なんですね。それから物の投げ合いです。巻き込まれたナースが片付けるの大変でしたよ」

 やってられません!
 と高畑主任の顔に書いてある。

 なるほど……。
 なんというか、あまりにも幼稚な揉め方だ。
それも、多分お孫さんがいらっしゃるようなお歳の二人。

 でも、もうすぐその夕食の時間がやってくる。どうするんだろう?

「……確かに、幼稚ではありますが食べ物の恨みって、いくつになってもあると思いますよ」

「宗司先生? ……何かいい案がある?」
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