跡取りドクターの長い恋煩い
「とりあえず、今日の夕食の時間に関してですが、普通食で歩ける方にはミーティングルームに行って頂きましょう。
 スベシャル御膳なら、ミーティングルームで食べる特別感があっても不自然ではないかと」

「確かに、特別感はあるな。
……そうだな、このまま4人部屋で食べさせるのはちょっと問題だよな」

 うん。宗司くんの言う通り、今日はミーティングルームでも良さそうだ。

 それに今日のメニューを知らないけど、やっぱり匂いってあるものね。美味しい匂いがしたら、自分の検査食が惨めになるかも。

「で、今後のことですが、スペ膳は検査のない金曜日限定にしてもらいましょう」

「栄養管理室に頼むのか?」

 何故か矢本先生が渋い顔をしている。
あれ?  高畑主任も?

「俺が言いますよ」

「いや、しかし……」

「川瀬室長は小さい頃から知ってますから。
とりあえず副院長にも相談してみます」

「そ、そうか! いや、それは助かるな」

「えぇ、えぇ!
 宗司先生そうしてください。
実際、幼稚なやり取りだと思いますけど、検査食を食べている横でローストビーフとエビフライを食べられたらムカつきますものね」

 今日、ローストビーフとエビフライなんだ。ゴージャス!
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