跡取りドクターの長い恋煩い
「もうっ!  そういうのダメです。
 それに私は初期研修医なんです。
 宗司先生?  患者さんがいなくても芦田先生って呼んでくださいね?」

 うっわー!
 上目遣いにお願いしてくる笑美里は可愛い。ちょっと触ってもいいかな?

「え、ちょ、何してるんですか?」

「可愛いから撫でてる」

 笑美里の柔らかい髪の感触、最高だ!
 頭だけじゃなくて、きっとそこら中……いやもう抱きつきたい!

「や、やめてください! 
誰かに見られたらどうするんです?」

「それは、見られなかったらいいってこと?」

「違っ……ん」

 真っ赤になって恥ずかしそうに俺に触られている笑美里を見ると抑えが効かなかった。
 気づくと俺は笑美里の唇を奪っていた。

「やっぱり柔らかい……可愛すぎる」

「そ、宗司くんっ!」

「ごめん。抑えが効かなかった。
続きは帰ってからにするよ」

「も、もうっ……病棟でこんなことするならお付き合いしないからっ!」

「えぇっ!」

 それは困る!

「ご、ごめん、それだけは……もうしません」

「……」

 笑美里に嫌われたら生きていけない。
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