跡取りドクターの長い恋煩い
 正直に言うと、私の初恋も宗司くんだ。
 あれは私の人生で唯一のキュンとときめく思い出。あまりに幼くてもう覚えていないところもあるけれど。

 でも、今の宗司くんの気持ちと私の気持ちには明らかに温度差がある。

 私にはあの時から今に至るまでのブランクがあるのよ。あの時の気持ちを思い出そうと思っても正直わからない。

「私にとっても、宗司くんは初恋の人よ」

「それなら……」

「でも、私はあの頃幼すぎて、正直なところあまり覚えていないの。
 ただ一年に一度、宗司くんに会えたら嬉しいと思っていただけ。そこで途切れているの。
 再会してまだ二週間。私はこの二週間分の宗司くんしか知らない。
 ……あなたを好きになるほど、あなたを知らない」

「……」
 
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