跡取りドクターの長い恋煩い
 あれは大学に入学してすぐの頃のことだった。
 俺が2人に笑美里の話をあまりにも熱心に聞くものだから、俺の長い恋煩いはすぐにバレた。その時に言われたのだ。

「笑美里は私達の大事な妹なの。目の中に入れても痛くないくらい可愛い妹なのよ。
 なんの取り柄もない男にはやれません」

「いや瞳、こいつ一応大病院の跡取り……」

「何言ってるの!  幸太郎は黙ってて。
 跡取りであっても流行りの御曹司であっても、笑美里のために努力しない男はダメ。
 宗司?  あなた、料理はできる?」

「りょ、料理?」

「そう。笑美里は本当に真面目な子でね。お勉強ばかりしているから料理があまり得意じゃないのよね。
 経済的に食べさせてくれるだけじゃなくて、料理上手なダンナの方が望ましいわね」

「まあ、そこそこは出来るが……」

「そこそこ?」

 うわっ、睨みが!
 
「あ、いや……やります! 頑張ります!」

 この義姉、怖ぇ〜〜!
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