クールな許嫁の甘い独り占め。
「え、いいの?」
「うん。コスプレ用に買ったんだけど、ちょっとやりたいキャラのイメージと違ったんだよね〜。
未使用だから咲玖ちんにあげる」
「わー、ありがと…!」
受け取ろうとしたけど、急にハッとした。
「…ごめん、やっぱり受け取れない」
「え?この色、気に入らなかった?」
「そうじゃなくて、彼に悪いから…」
蒼永はこれからも仲良くしなよ、って言ってくれたけど、あんまりこういうのは良くない気がする…。
友達でも別の男の子からのプレゼントをもらうのは、嫌だよね――…。
「あーー…、ごめん。そうだよね」
「ごめんね!リオンちゃんが悪いわけじゃないの!」
「いや、ボクもごめん。咲玖ちんが普通に接してくれるから嬉しくなってたけど、彼氏持ちの子に馴れ馴れしくすべきじゃなかったよね〜…」
「っ、違うの!私もリオンちゃんと仲良くなれて嬉しいよ!
メイクとか趣味の話ができる友達ができて、すっごく嬉しかった!」
リオンちゃんを傷つけたいわけじゃない。
これからも仲良くしてほしいと思ってる。
でも――…、
「私にとって一番大切なのは彼だから…彼に嫌な思いしてほしくないだけなの」
「うん、わかるよ。それが正しいと思う」
リオンちゃんは優しく笑ってくれた。