クールな許嫁の甘い独り占め。
「わ、わかってるよ……っ!!」
「本当に?」
わかってると言いながら、蒼永の言葉と視線にかあっと頬が熱くなっているのを感じてる。
「どうしちゃったの蒼永…!なんか変わった?前はそんなこと言わなかったじゃん…っ」
「変わってない。俺は咲玖のこと、ずっとそういう目で見てる」
「……っ」
「咲玖が俺のこと男として見てないのも、わかってる。でも、もう容赦しないから。
覚悟してて」
そう言い切った蒼永は、私の頬にちゅっとキスをした。
「――っ!?」
「……じゃあ、おやすみ」
え、え、え。
えええ〜〜〜〜〜!?!?
キスされた頬に手を当て、その場にへなへなとへたり込む。
今のは本当に蒼永????
私の知ってる蒼永と違う……5年の間に何があったの……?
てか、今のって……
「蒼永って、私のこと好きなの……?」
生まれた時から許嫁だと言われ、ずっと一緒に育ってきた。
今時珍しいとはわかっていつつも、許嫁だということをあまり気にしてなかった。
蒼永と一緒にいるのは楽しいし、今も家族みたいなものだと思っていたから。
ただ大人になっても一緒にいるんだと思っていたけど……、
「あれ………?」
今更になって私は、許嫁という言葉の意味を理解することになり、顔の熱りが止むことはなかった。