クールな許嫁の甘い独り占め。
「欲しい」がそういう意味ってことは、流石の私でもわかった――…。
「でも、今はしない」
「え?」
「本音は今すぐしたいよ。でも咲玖のこと大事にしたいから、咲玖の気持ちが追いつくまで待ってる」
今すぐしたいんだ――…
私も蒼永ともっとくっつきたいとは思ってる。
でも、最後まで進むのはまだ勇気がいるっていうか…
まだ早いような気もしてるし、こわいなって気持ちもある。
「あ、ありがとう…」
「でも理性が効かなくなる時もあると思うから…その時はちゃんと止めてね」
「はい…!自信ないけど、がんばる…!」
「自信ないの…」
「だって、蒼永に触れられるの嫌じゃないから…頭ではまだ早いって思ってても、触れられたら我慢できないかも…」
「……」
「蒼永…?」
グイッと引き寄せられたかと思うと、ぎゅーっと抱きしめられ、床の上で抱き合う状態に。
ゼロ距離の耳元で囁かれる。
「そんなこと言われたら…襲うよ?」
「おそ…っ!?」
「我慢するけど…決意が揺らぐこと言わないで」
「ご、ごめんね…?」
「うん…」
「あの、もうちょっとこのままでもいい?」
「…、うん(こういうとこ無自覚なんだよな)」
二人で寝転がってくっついて、ちょっとおかしいなとも思うけど、すごく安心する。
キスのその先に進むのは、きっと今じゃない。
でも、蒼永とだったらその先にも進んでみたいって思ってるよ。
だって私たち、結婚するんだもんね――…
「咲玖、そろそろ…」
「ス-ス-…」
「えっ寝てる?」
「……」
「はぁ…勘弁して…」