クールな許嫁の甘い独り占め。
そして新学期始まって早々だけど、文化祭の準備が始まる。
私も生徒会として軽くお手伝い。
もちろんクラスとしての出し物もあるし、調理部でも何かやろうって話になってるので結構忙しくなりそうだ。
「クラスの出し物、何がいいかな〜」
「模擬店、演劇、お化け屋敷とかも定番だよね」
「大志くんはやりたいのあるの?」
「そうだな、演劇なら裏方に回りたいくらいかなぁ。大道具係とかやってみたいんだよね」
「大志くん手先器用だもんね!桃ちゃんは?」
「……。」
桃ちゃんはなんだか難しい顔でスマホを見ている。
「桃ちゃん?どうかした?」
「…あ、ごめん何の話?」
「文化祭だよ!」
「ああ…」
なんか桃ちゃん、元気ない感じ?
「何かあった?大丈夫?」
「いやちょっと…実は咲玖に黙ってたことがあるんだけど」
私に黙ってたこと??
「中学の同窓会しようって話が出てるのよ」
「そうなんだ!いいねぇ」
「咲玖も行きたい?」
「うん、行きたい」
「目黒がいても?」
え…――
あ、そっか…そうだよね……。
「えっと…」
「嫌ならテキトーに理由つけて咲玖は都合が悪いって言っておくわ」
「でも…」
「さっちゃん、無理しなくていいんだよ?」
大志くんも心配そうに私の顔を覗き込む。
これは中学時代、唯一の苦い記憶だ。