クールな許嫁の甘い独り占め。
* * *
「…落ち着いた?」
帰宅し、蒼永はレモネードを作ってくれた。
これはよく永美里さんが作ってくれた、私が大好きなもの。
蒼永、覚えててくれたんだね…。
「うん、ありがとう…」
「あいつ、何者?」
「中学の時の同級生…ちょっと、ううんだいぶ苦手な人」
「…一時期咲玖が元気なかったのは、あいつのせい?」
「え?」
「中学の時、一時期元気なかった時あったでしょ?」
覚えてたの?
あの時は電話でしか話せてなかったのに――…
「…よく覚えてたね」
「悔しかったからね。傍にいたい時にいられなくて」
蒼永はそっと優しく、私の手を握りしめる。
その手はとても温かい。
「でも、今は何があってもずっと傍にいるから」
「…うん」
怖かった気持ちが、握られた手の温かさとともにするすると消えていく。
私には、蒼永がいる。
大好きな人が傍にいてくれるから、何も怖いことなんてない。
怖がらなくてもいいんだ。
「蒼永、大好き」
「俺の方が好きだと思う」
「そんなことない」
「ある。絶対俺の方が好き」
「私だもん!」
いつの間にか気持ちが軽くなって、笑顔にしてくれる。
そんな蒼永が大好きだよ。