クールな許嫁の甘い独り占め。
「桃ちゃん…!」
「この指輪が目に入らないのかしら?下心ある奴らは散った散った」
私の左薬指を見て、みんな(特に男子たち)は「あー…」という顔になる。
やっぱり指輪、相手がいますってアピールになるんだ。
わざわざ言わなくても察してもらえるから便利だな。
「ありがとう、桃ちゃん」
「いいから。早く目黒探しなさいよ」
「うん!」
私はキョロキョロと周りを見回し、目黒くんの姿を探す。
人が多くて探しにくい…。
隅の方で女子たちがたくさん集まっていた。
その中心に目黒くんがいた!
どうしよう、今は話しかけない方がいいかな…。
でも、いつ話せるかわからないし…。
ここは勇気を出して…!
「めぐ、」
「咲玖〜!!久しぶり〜〜!!」
話しかけようとしたら、同クラだった女の子に声をかけられてしまった。
「久しぶりだね!」
…うん、やっぱり後にしよう。
目黒くんもお話中だし。
なんて思ってタイミングを伺っていたけれど。
また別の子に話しかけられたり、幹事主催のイベントが始まったり。
目黒くんも今度は男子グループと話していたりして、全然話しかけるタイミングが掴めない。
「何してんのよ!同窓会終わるわよ!?」
「わーん!だってタイミングが〜」
「さっちゃん、さっちゃん」
大志くんがこっそりと黄色い紙を渡してくれる。
これは今からやるゲームのグループ分けをするための紙だ。
同じ色同士で同じグループになるという。
ちなみに私は赤を引いていた。
「目黒くんも黄色だったよ」
「ほんとに!?」
「うん、交換しよ」
「ありがとう大志くん…!」
「頑張ってね」
こっそりと大志くんと色紙を交換してもらい、黄色チームの輪の中に近づいていく。