クールな許嫁の甘い独り占め。
大志くんが連絡してくれたということは、知ってそうだけど念のためにお礼と「先に帰ります」のメッセージを入れておいた。
あんな感じで帰って大丈夫だったかな…。
連絡先交換もしないで来ちゃったけど。
「…やっぱり行かせるんじゃなかった」
「えっ!?」
「ううん、何でもない。あいつと話せた?」
「…話せたよ」
まだ胸の奥がきゅうっと痛くなる。
「ちゃんと、話せたと思う。でも、気持ちに応えられないって…すごくつらいんだね」
またじわりと涙が滲む。
そんな私の頭を優しく撫でてくれた。
「頑張ったね」
「…っ」
私は人目も憚らず、蒼永に抱きつく。
私は知ってしまった。好きな人に好きになってもらうことは、奇跡なんだって。
「私のこと、好きになってくれてありがとう…っ」
「それは…俺の台詞だと思うけど」
そう言って抱きしめ返してくれることにキュンとする。
「俺の方がずっと好きだったのに」
「だから、それが嬉しいの…」
私は本当に運が良くて幸せ者なんだ。
大好きになった人が幼馴染で許嫁なんて、こんな宝くじに当選したみたいなことある?
だからこそ、これからもこの人をずっと大切にしていきたい。
そう強く思った。