クールな許嫁の甘い独り占め。
た、助かった…!!
気まずくならずに納得してもらえた…!!
「桃ちゃん〜!ありがとう…!!」
「あとで説教よ」
……その代わり、桃ちゃんのお怒りは食らうことになりそうだ。
* * *
「なんで彼氏だって言わないのよ!?絶対その方がめんどくさくないのに!」
「だって……」
昼休み、屋上でお昼を食べながら桃ちゃんにお説教されている。
「彼氏じゃないのに嘘つくのもなって…」
「許嫁も似たようなもんよ!」
「全然違うって!!」
「それにしても、すごいね蒼永くん。あっという間に有名人だよ」
大志くんが感心しているように、蒼永は転校早々あっという間に有名人になっていた。
超イケメン転校生、しかもS組ということで校内でも噂になっているらしい。
2,3年生の間でも話題になっているとか。
「すごいよねぇ」
「なんであんたはのんきなのよ!」
「なんで?」
「許嫁がモテまくってて平気なの?」
「何か困ることあるの?」
「ダメだわこのアンポンタン!」
そんなこと言われても…現状特に困ってはないんだよなぁ……。
「知らないからね。彼氏だって言っといた方が絶対良かったって、後悔するわよ」
「てか蒼永くん遅くない?迷ってるのかな」
なんて会話をしていたら、扉が開いてなんだかげんなりした表情の蒼永がやって来た。
「蒼永!」
「久しぶりだね蒼永くん!」
「遅かったじゃない」
「散々声かけられまくって巻いてくるのに大変だった…」