クールな許嫁の甘い独り占め。


「今のはわかったよね!?」
「わかんなかったからもう一回」
「また!?」


流石にこれ以上は心臓がもたないんですが…っ!



「ねぇ咲玖、この格好だと誓いのキスみたいだね」

「ちか…っ!?」

「本番はもっと綺麗だろうけど、独占はできないのが悔しいな」

「独占って…」


そりゃあ本物の結婚式では親も友達もみんな招待するからね…。


「だから今だけは独り占めさせて」

「…っ、蒼永って結構独占欲強いよね…」

「咲玖限定でね。今更気づいたの?」



悪戯な甘い視線に囚われるのは何度目だろう?
多分これからも何度も囚われて引き寄せられて、甘いキスに溺れてゆく。


本当に誓いのキスみたい――…。


ここが学校で、今は文化祭の真っ只中だということを忘れてしまいそう。
このまま時が止まればいいのに、なんて考えてしまう。


「…蒼永、もう行く?」

「行かないって言ったらどうする?」

「…、いや行かなきゃダメだよねぇ?」

「……」


思いっきり客寄せ中に出てきてるのに、交代になった私と違って蒼永はサボりなんじゃ…。


「行きたくない…」
「ダメだよ!」
「咲玖、もうちょっとだけ」
「もうっ!…あっ」


首元に強くキスされて、赤い痕が浮かび上がる。

ちょっと待って…流石にわかるよ…これキスマークだよね!?


「蒼永!!」

「見られたくなかったらちゃんと着替えて隠してね」

「〜…っ!!」


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