クールな許嫁の甘い独り占め。
「――で?何があったのよ」
「……」
蒼永と大志くんは二人で上級者コースを滑りに行き、やっと初心者コースで転ばなくなった私には桃ちゃんが付き合ってくれてる。
多分気を利かして男女で分かれてくれたんだろうな…。
「実は、」
昨夜二人きりになった時、蒼永に触れられて思わず拒んでしまったことを話した。
「嫌だったの?」
「嫌とかじゃないの!その、私に覚悟が足りなくて…っ」
「覚悟?」
「私は、まだ蒼永に全部見せる覚悟ができてないってゆうか…今の私じゃダメなんだよ…」
「ダメねぇ…」
「だって、桃ちゃんみたくスタイル良くないんだもん!」
最近食べすぎてお腹ぷにぷにだし、胸はちっちゃいし…とても見せていいカラダじゃないんです…!!
「蒼永にガッカリされたくないの…」
「うーん、まあ気持ちはわからないでもないけど…九竜は咲玖が太ってたりガリガリだったり胸がなかったりして、引くような男なの?」
「それは…」
そんなことは、ないと思う…。
「そんな男ならこっちから願い下げだって思うけどね。
でも、好きな人の前で綺麗でありたいと思うのは、自然なことだと思うわ」
「桃ちゃん…」
「だけど、気にしすぎよ。咲玖は常日頃からかわいくありたいって意識は高いくせに、変なところで自信ないわよね」
「だって…!ありのままを見せるのは、勇気がいるとゆうか…!」
「でも、九竜はありのままの咲玖が好きなんじゃないの?」