クールな許嫁の甘い独り占め。
「えっ、照れるなぁ」
「てか大志ってなんで春日井なの?」
留学中も大志とはちょいちょい連絡取ってて、春日井と付き合い始めた時も報告されたけど、なんで春日井が好きなのかとかは一度も聞いたことない。
「なんでと言われても…」
器用にも、滑りながらうーん、と考える。
今の会話で彼女がいそうなことがわかったのと、まるで相手にされないと思ったからか、ナンパした女子は離れていった。
「多分、蒼永くんと同じだと思う」
「同じ?」
いや、咲玖と春日井は全然似てないけど。
「僕には彼女しかいないって、そう強く思ったんだ」
「…ああ、それはわかる」
咲玖の好きなところなんていくらでも言えるけど、本当は理屈じゃない。
本能で咲玖のことを求めてる。
その本能に抗えなくて、しくじったわけだけど…。
でも、俺には咲玖しかいない。
咲玖以外なんて考えられない。
他の誰にも咲玖の隣を譲るつもりなんかない。
片想いしてた頃より夢中になってるし、欲張りになってる。
戻ったら、ちゃんと咲玖と話して謝ろう。
「大志、ありがとう」
「ん?僕は何もしてないよ」
「うん…」
「そろそろ戻ろっか。雪降ってきたし」
「そうだね」