クールな許嫁の甘い独り占め。
「九竜くん、おはよう」
教室に入ったら知らない女子に話しかけられた。
誰だっけ。
「…おはよう」
「私、松川茜。同じS組同士よろしくね」
「ああ」
「良かったらLIME教えてくれない?」
「ごめん、やってない」
「えっ」
…もちろん嘘だけど。
ニコニコ笑ってるけど品定めされてるような視線が不快だ。
「おい九竜の奴、松川さんのこと断ったぞ」
「超美人モデルの連絡先知るチャンスなのに!?」
なんか聞こえたけど、興味ない。
…やっぱこのクラス、苦手だな。
早く咲玖に会いたい。
ちなみに特待生クラスとはいえ、授業内容は普通科と変わらない。試験範囲も同じ。
結果を残せば多少成績が悪くても見逃される。それが特待生だ。
オール赤点でも問題ないと言えばないけど、特待制度の単位を落とせば即退学。
もしくは普通科に転籍となる。噂によれば結果出せなくて普通科転籍は毎年多いらしい。
そういう奴は落ちこぼれのレッテルを貼られるとか…本当にくだらない。
でも、特待生になることがこっちに戻ってくること、咲玖と一緒に住むことの条件だから仕方ない。