クールな許嫁の甘い独り占め。
咲玖と離れていた5年間は、ひたすら稽古に励む日々だった。
がむしゃらになって打ち込んでいたっていうのは、言い過ぎだけどほとんどそんな感じ。
まあ実際強くなるまで帰ってくるなと言われていたし、わかりやすい目安は全国優勝だと思っていたのでそれに向けて精進していたら、自然と稽古漬けの毎日になっていたって感じだ。
おかげで空手と剣道の全国大会で中学3年間で個人3連覇を達成し、武道に関しては厳格なじいちゃんを納得させることができた。
なんで小学校卒業を待たずに留学したのかと聞かれたら、早めに中学で結果を出したかったから。
思春期真っ只中の中学生の時に咲玖を一人にしておくのは心配だったけど、今帰ってきたのは正解だったと思う。
咲玖に変な虫を寄せ付けない意味でも、男として意識してもらうためにも。
だから他人に構ってる暇なんかないんだけど。
「九竜くーーん!」
「頑張って〜!こっち向いて〜!」
…なんで俺の意に反して余計な奴らが群がってくるんだろう。
今日は空手部の練習に出たら、なんか知らない女子がいっぱいいた。